本格ミステリをはじめ、ハードボイルドやサスペンス、ホラーなど様々なサブジャンルを持つミステリー小説。
特有の緊迫感はもちろん、犯人を推理する楽しさやあっと驚くどんでん返しが味わえるのもミステリーの大きな魅力ですよね。
この記事ではそんなミステリー小説が大好きな筆者が、本当に面白いと思ったおすすめ作品を40冊ご紹介していきます。
鉄板から隠れた名作まで、絶対に一度は読んで欲しい本当に面白い作品を厳選したので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
一度味わうと忘れられない、そんな面白さをぜひ体験してみてくださいね!
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この記事の目次
オススメ作品
十角館の殺人
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!(講談社)
新本格推理小説のジャンルを確立したミステリーの傑作
孤島に立つ館「十角館」で起こる殺人事件と、本土で起こる怪文書の真相究明が同時進行で描かれる「館シリーズ」の第1作。作家・綾辻行人のデビュー作品にして最高傑作とも評される作品です。
「オススメのミステリー小説は?」と聞かれたら、真っ先に名前が挙がる名作ですね。いわゆるクローズド・サークルものであり、孤島で1人また1人と消えていく展開は、先が気になってページをめくる手が止まらなくなるはず。
そしてなんといっても本作の魅力は、その巧みなどんでん返し。作中のたった1行ですべてがひっくり返るあの感覚は、思わず声が出てしまうほどの衝撃でした。
ミステリーをあまり読まないという人でも取っ付きやすい作品だと思うので、ぜひ一度その衝撃を味わってみてください。
著者 | 綾辻行人 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 290 |
ハサミ男
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!(講談社文庫)
第13回メフィスト賞にも輝いた、どんでん返しの傑作
『探偵石動シリーズ』などを手掛けた小説家・殊能将之による小説。著者のデビュー作であり、1999年の第13回メフィスト賞にも輝いた作品です。
やはり見どころはシナリオ。「衝撃のどんでん返し!」と帯に書いてあったので構えて読んだのですが全く分からず、その上凄まじいやられた感。
終盤で真相が明らかになった時には、何度かページを戻って確認してしまったほどでした。ネタバレやレビューは見ずに、ぜひその面白さを体験してみてください。
著者 | 殊能将之 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 413 |
火車
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。(新潮社)
このミス大賞創設から20年間1位に輝いた、現代ミステリーの金字塔
小説家・宮部みゆきによる推理小説。第6回『山本周五郎賞』受賞、『このミステリーがすごい!」』のベスト・オブ・ベストで第1位など、数々の賞に輝いた名作。
「カードローン破産」を題材にした作品であり、当時社会問題となっていた消費者金融をテーマに、取り立てに翻弄される女性の人生が生々しく描かれています。
消費者金融に手を出した女性の辛く苦しい生き様がリアルに描かれており、1つの小説としても非常に読み応えがある作品。
もちろんミステリーとしても面白く、主人公が関わる失踪事件とカードローン破産が結び付いていく展開は衝撃的でした。
著者 | 宮部みゆき |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 590 |
最後の証人
検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。それにもかかわらず、佐方は弁護を引き受けた。「面白くなりそう」だから。佐方は法廷で若手敏腕検事・真生と対峙しながら事件の裏に隠された真相を手繰り寄せていく。やがて7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになり……。(KADOKAWA)
社会問題をテーマにした、現代ミステリーの金字塔
弁護士・佐方貞人によるリーガルサスペンス「佐方貞人シリーズ」の第1作。弁護士として弁護を担当しながら、裁判を通して事件の裏に隠された真実へと迫っていきます。
サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても楽しめる内容で、1日で読破してしまうほど面白かったです。2転3転する裁判の行方も目が離せませんでした。
そしてなんと言っても佐方貞人が非常にカッコイイのですよね。「犯した罪で裁かれるべき」を信条にする弁護士としての姿勢は読んでいて心揺さぶられるはず。
裁判の様子も丁寧に描かれていて「裁判ってこういうことなんだ」という学びもあり、リーガルサスペンス初心者の方にもぜひオススメしたい作品です。
著者 | 柚月裕子 |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 320 |
medium 霊媒探偵城塚翡翠
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。(講談社)
「2019年最驚のミステリ」この物語のすべてが伏線
小説家・相沢沙呼氏によるミステリー小説。「第20回本格ミステリ大賞」をはじめ、「このミステリーがすごい!」「2019年ベストブック」など5つの賞で5冠を達成した作品です。
多くの有名作家も絶賛するだけあり、内容はすごいの一言。終盤の展開も衝撃的で目新しく、読んだ後もしばらくこの作品が忘れられないくらいでした。
そして何と言っても、翡翠ちゃんが可愛いです。内容も素晴らしいですが、翡翠ちゃんが可愛らしいのでどんどん読みたくなるのですよね。
まるでミステリー系のラノベのような読みやすさがあるので、ミステリー初心者やアニメが好きな人にもオススメの作品です。
著者 | 相沢沙呼 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 496 |
殺戮に至る病
永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。(講談社)
猟奇殺人事件の真相を描いた戦慄のミステリーホラー
ミステリー小説『8の殺人』でデビューし、PSの名作ソフト『かまいたちの夜』のシナリオなどを担当した我孫子武丸氏のミステリーホラー小説。
ミステリーとしても衝撃的で面白い作品ですが、何よりも魅力なのはゾッとしてしまうほど猟奇的なサイコキラーの主人公の行動。
殺されるのはすべて女性なのですが、犯行後に行う奇行がグロすぎる上に、それを生々しく描写しているので文章だけなのに思わず目を逸らしたくなるのです。
万人にオススメできる作品ではないですが、個人的には「これを超える猟奇殺人モノはないだろう」と思えるほどお気に入りの作品です。
著者 | 我孫子武丸 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 324 |
そして誰もいなくなった
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作!(クリスティー文庫)
多くの作品に影響を与えたアガサ・クリスティの傑作
世界的人気を誇るミステリー作家・アガサ・クリスティによるクローズドサークルの傑作。本作はクリスティ作品の中でも特に評価が高く、代表作に挙げられることも多い1冊です。
個人的にも大好きなクリスティですが、中でも本作は特に面白かった作品。トリックも描写も今読んでも色あせない魅力があり、とても引き込まれました。
海外の作者でかなり古い作品でありながら、古典とは思えないほど現代人にも読みやすい一品。様々な作品にオマージュされるほど強い影響を与えたのも納得です。
「クリスティっていっぱいあってどれから読めば…」という方は、特に人気の高い本作からぜひ手にとって読んでみてください。
著者 | アガサ・クリスティ |
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発行元 | 早川書房 |
ページ数 | 387 |
アクロイド殺し
名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作。(クリスティー文庫)
現在でも語り継がれるミステリー史に残る傑作
アガサ・クリスティによる傑作推理小説。ポアロシリーズの3作目に当たり、推理小説史上に残る名著としてクリスティの代表作の1つにも挙げられる作品です。
ミステリー好きの間では超有名な作品であり、「読んだことはないけど、トリックは知っている」という人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、トリックを知っていて読んでも面白いのですよね…。動機や背景などの構成も巧みで、最後まで飽きることなく楽しめました。
どんな作品なのか全く知らないという人は、ぜひ前情報を入れずにその物語を味わってみてください。
著者 | アガサ・クリスティ |
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発行元 | 早川書房 |
ページ数 | 445 |
火曜クラブ
甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家など様々な職業の人々がミス・マープルの家に集った。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという〈火曜クラブ〉ができたが……田舎の老婦人ミス・マープルが、初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。(クリスティー文庫)
名探偵ミス・マープルが初登場となるクリスティの短編集
アガサ・クリスティによる短編集。クリスティ作品ではポアロと並ぶ代表的な名探偵ミス・マープルが活躍する短篇13篇が収録された短編集です。
どの短編もクリスティらしさ全開で非常に面白く、いろいろなクリスティ作品をまとめて楽しみたいという方にはとてもオススの作品。
また本作にはマープルが初登場となった「火曜クラブ」も収録されており、マープル作品を読み始めるのにも持ってこいの1冊です。
著者 | アガサ・クリスティ |
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発行元 | 早川書房 |
ページ数 | 453 |
儚き羊たちの祝宴
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。(新潮社)
恐るべき真相はラストの1行に。衝撃の暗黒ミステリ
小説家・米澤穂信による短編推理小説。『小説新潮』に掲載された4編と書き下ろし1編を収録した短編集です。
上流階級の人間を題材とした5つの事件が描かれているのですが、どれも毒々しさがあり、最後の最後にざらりとした感触が残るものばかり。
中でも「玉野五十鈴の誉れ」の面白さは格別で、甘美なお話かと思いきや読後に背筋をヒヤッとさせるあの終わり方はかなり衝撃的でした。
ミステリーでありながらまるでお伽話を読んでいるような味わいがある作品。短編集としても、1冊のミステリー小説としても非常にオススメの作品です。
著者 | 米澤穂信 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 252 |
氷菓
何事にも積極的に関わらないことをモットーとする奉太郎は、高校入学と同時に、姉の命令で古典部に入部させられる。さらに、そこで出会った好奇心少女・えるの一言で、彼女の伯父が関わったという三十三年前の事件の真相を推理することになり――。(KADOKAWA)
アニメ化&実写映画化も果たした大人気ミステリーシリーズ
第5回角川学園小説大賞の奨励賞も受賞した、小説家・米澤穂信のデビュー作。「古典部シリーズ」の第1弾であり、現在も続編が刊行されている人気シリーズです。
本作は「日常の謎」を扱った青春ミステリであり、学校生活の中で起こる些細な謎(「教室が密室になったのはなぜ?」など)を古典部の面々が解決していくという内容。
同ジャンルはサスペンス的な緊迫感がなく作風が地味になりがちですが、本作はキャラクターが個性的な上文体も巧みなので、グイグイ引き込まれてしまうのですよね。
なお本作はテレビアニメ化・映画もされており、特にアニメ版は非常に人気が高いので、気になる方はぜひそちらも試聴してみてくださいね。
著者 | 米澤穂信 |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 217 |
満願
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。(新潮社)
史上初の三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔
米澤穂信による短編推理小説。第27回山本周五郎賞を始め、2014年度「ミステリが読みたい!」など3つの賞で史上初のミステリーランキング3冠に輝いた名作。
個人的に今まで読んだ中で最も面白かった短編集です。1つ1つの物語も短編とは思えないほど完成度が高く、とても読み応えがありました。
どの物語でも共通して、最後の最後にどろりとしたものが現れる展開になっており、ミステリーの面白さをたっぷり堪能できる短編集になっています。
米澤穂信の、そして短編ミステリーの面白さが詰まった1冊。ぜひ手にとって読んでみてください。
著者 | 米澤穂信 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 314 |
この闇と光
森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!(KADOKAWA)
すべての世界が崩壊する驚愕必至の傑作ゴシックミステリー
『時のアラベスク』『シメール』などを手掛けた小説家・服部まゆみによるゴシックミステリー。1998年に発売されたのち、2014年にも再販された作品です。
中世ヨーロッパの世界を舞台にした物語は耽美で引き込まれ、ミステリーとしても1つの物語としても非常に読み応えのある1冊。
と思いきや読み進めるにつれどこかおかしいと感じ始め、迎える終盤の謎が解けるシーンは圧巻。読後もしばらく忘れられないほど、心奪われた作品でした。
哲学的なテーマも孕んだ内容になっており、そういったジャンルが好きな方や考察系が好きな方には、ぜひオススメしたい1冊です。
著者 | 服部まゆみ |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 302 |
イニシエーションラブ
僕がマユに出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。理系学生の僕と、歯科衛生士の彼女。夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちて……。(新潮社)
「必ず2回読みたくなる」と評された驚愕のミステリー
小説家・乾くるみによる青春ミステリー。その面白さから雑誌やテレビ番組などでもたびたび紹介され、2015年には映画化もされている作品です。
見どころはやはりその構成。ラスト数行で世界がひっくり返るようなあの感覚は強烈で、帯の通り本当に2度読み返してしまいました。
サスペンス的な凄惨さはなく、甘酸っぱい青春小説的な内容で非常に読みやすいのもあり、最後まで夢中で読み進めてしまいました。
ミステリー初心者の方はもちろん、面白い小説を読みたいという人にもまずオススメしたい作品です。
著者 | 乾くるみ |
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発行元 | 文藝春秋 |
ページ数 | 272 |
すべてがFになる THE PERFECT INSIDER
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。(講談社)
SF的なエッセンスにワクワクさせられる名作ミステリー
森博嗣による推理小説シリーズ『S&Mシリーズ』の第1作。漫画化やドラマ化を始め、ゲーム化、アニメ化などメディアミックス展開もされている人気作です。
ハイテク研究所が舞台になっており、IT系の用語も多く出てきて若干のとっつきにくさはありますが、それを補って余りあるほど内容がとにかく面白いです。
哲学的なテーマや発想も奇抜で、例えるならSFアドベンチャーゲームを読んでいるかのようなワクワク感があり、展開知りたさでどんどん読み進めてしまいました。
SFミステリー系のゲームやアニメが好きな方には、間違いなくハマる作品ではないかと思います。
著者 | 森博嗣 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 524 |
仮面山荘殺人事件
8人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた8人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに1人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。7人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった……。(講談社)
取っ付きやすくて面白い、初心者にイチ押しの作品
『ガリレオシリーズ』や『加賀恭一郎シリーズ』でお馴染みの人気作家・東野圭吾によるミステリー小説。
さすがは東野圭吾作品という内容で、ミステリーとしてのワクワク感もあり、最後に驚きのどんでん返しもあり、とっつき易くてしっかり楽しめる1冊になっています。
ページ数も比較的少なめで物語の展開も巧くテンポ良く読めてしまうので、実際に秋の夜のお供に一晩で読んでしまった作品でした。
手軽に楽しめるミステリーをお探しの方には非常にオススメの1冊です。
著者 | 東野圭吾 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 294 |
ある閉ざされた雪の山荘で
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!(講談社)
たった1度の大トリック!劇中の殺人は真実か?
東野圭吾による長編推理小説。オーディションに合格した7名の劇団員が、外部との連絡を行えない「吹雪の山荘」での演劇練習中に、殺人事件に巻き込まれていきます。
内容は山荘に閉じ込められた男女が殺人事件に巻き込まれるという王道的なもので、読みやすい文体と終盤にはどんでん返しもあり、初心者でも楽しみやすい1冊になっています。
どんでん返しも驚きの展開で衝撃を受けましたが、それに加えて俳優志望の登場人物たちの心情描写も巧く、ただミステリーというだけではない読み応えもありました。
東野圭吾の作品を読んでハマった方は、ぜひこちらも手にとって読んでみてください。
著者 | 東野圭吾 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 306 |
葉桜の季節に君を想うということ
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして——。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。(文藝春秋)
2004年のあらゆるミステリー賞を総なめにした傑作
『密室殺人ゲーム2.0』を手掛けた小説家・歌野晶午による推理恋愛小説。「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」など様々な賞で1位を獲得した名作ミステリーです。
「何でもやってやろう屋」を営む主人公が探偵として奮闘する姿は青春冒険活劇のようでワクワク感があって面白く、「こういう生き方良いなぁ」と感じてしまいました。
そんな面白さも魅力ですが、やはり最後のどんでん返しが秀逸。引っかかっていた謎が一気に解けていく様は見事で、読んでいて思わず唸ってしまうはず。
まだ読んだことがないという方は、ぜひネタバレを見ずに楽しんでみてください。
著者 | 歌野晶午 |
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発行元 | 文藝春秋 |
ページ数 | 444 |
ロートレック荘事件
夏の終わり、木内文麿氏が主であるロートレックの作品に彩られた、郊外の瀟洒な洋館「ロートレック荘」に集まった青年たちと美貌の娘たち。優雅なバカンスを楽しむはずが、2発の銃声で悲劇が始まる。美女の死体が発見され、警察が別荘にやって来て監視を強めていたにも関わらず、1人また1人と美女が殺されていく…。(新潮社)
衝撃のトリックにミステリー史に残るほど評価が分かれる名作
『パプリカ』『時をかける少女』などを手掛けたSF作家・筒井康隆による推理小説。『富豪刑事』『フェミニズム殺人事件』に続く3作目の推理小説です。
本作の見どころはなんと言っても作中に隠されたトリック。ネタバレなので伏せますが、まさにこの作者にしか書けないような内容であり、ハマる人はとことんハマる作品だと思います。
パプリカなどもそうですが、ジャンルに縛られない奇想天外な発想を味わえる物語というのは、童心に帰ったようなワクワク感がありますよね。
ページ数も多くなくサクッと読めてしまうので、手軽ながらしっかり面白い作品が読みたいという人にオススメの1冊です。
著者 | 筒井康隆 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 190 |
向日葵の咲かない夏
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。(新潮社)
2009年のオリコン年間本ランキングで第1位に輝いた人気作
『カラスの親指』『背の眼』などを手掛けた小説家・道尾秀介によるミステリー小説。本作はオリコン年間本ランキングの文庫部門で第1位に選ばれ、100万部を超えるベストセラーも記録した人気作。
青春ミステリ的な内容で非常に読みやすいながら、終盤で謎が一気に明かされる展開は衝撃的で圧巻。しっかりと楽しませてくれます。
個人的に本作で作者のファンになってしまいました。あまり関係ないですが、TV番組『今夜はナゾトレ』にも出てらっしゃったので知っている方もいるかも。
青春小説的な懐かしさもりミステリーとしての面白さもあり、普段ミステリーを読まない方もきっと楽しめるオススメの1冊です。
著者 | 道尾秀介 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 470 |
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。(講談社)
2009年のオリコン年間本ランキングで第1位に輝いた人気作
道尾秀介による推理小説。第140回の直木賞候補および第62回の日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)も受賞した、著者の代表作とも言える1作です。
個人的に道尾作品の中で最もオススメしたい作品。正直これほど見事に大どんでん返しを食らわされるとは思いませんでした。
登場人物同士の掛け合いも暖かくて和まされ、ダークなテーマを扱いながらもサクサク読める作品です。
なお本作は2012年11月23日に映画化もされていますが、結末はかなり違った内容になっています。気になった方は映画からでも見てみてはいかがでしょうか。
著者 | 道尾秀介 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 520 |
占星術殺人事件
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? (講談社)
「東西ミステリーベスト100(2021年)」第3位に選ばれた傑作ミステリー
日本ミステリー文学大賞も受賞している小説家・島田荘司のデビュー作。「御手洗潔シリーズ」の第1作であり、多くのファンを生み出した著者の代表作です。
トリックはかなり有名な作品らしいですが、知らずに読んだので分かった時にはあまりに衝撃的でした。フェアなトリックでここまで凄い衝撃を味わえる作品は、他にはないでしょうね。
御手洗と石岡くんのキャラクターがまた良くて、まるで映画『シャーロックホームズ』に出てくるホームズとワトソンのような関係性に思わずクスッとなります。読み終わったら次の作品に手を伸ばすこと請け合い。
文章はなかなか読みずらい(ミステリをあまり読まない人だと投げてしまうかも…)ですが、ぜひ最後まで読んで本作の衝撃を体験してみて下さい。
著者 | 島田荘司 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 441 |
開かせていただき光栄です
18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が……解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む。(早川書房)
第12回本格ミステリ大賞を受賞した英国ミステリー
日本ミステリー文学大賞にも選ばれた小説家・皆川博子によるミステリー小説。本作は第12回本格ミステリ大賞にも輝き、皆川作品の代表作としても挙げられる1冊です。
内容も細かな伏線などあって面白いですが、何よりも描写がとにかく丁寧で、舞台となる18世紀ロンドンの映像が目に浮かぶよう。
解剖学を題材に扱ったストーリーとも相まって、まるで英国ミステリーの翻訳版を読んでいるかの様な感覚でグイグイ引き込まれました。
洋風な世界観のミステリーが読みたい方にはとてもオススメの作品です。
著者 | 皆川博子 |
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発行元 | 早川書房 |
ページ数 | 441 |
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体〝惟霊(いれい)講会〟。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ――。(新潮社)
「未読の人には、絶対に本書のトリックを明かさないで下さい」
泡坂妻夫による『ヨギガンジーシリーズ』の第2作。超能力を持つ探偵ヨギガンジーは、怪しげな宗教団体と信者失踪事件の繋がりを追って欲しいと依頼され調査をすることになります。
本作の見どころはなんと言ってもトリック。導入も「未読の人のために「しあわせの書」の秘密を明かさないでください」という一文で始まり、本当にそれに見合う衝撃的な体験を味わえるはず。
内容自体は可もなく不可もなくという印象でしたが、それを補って余りあるほど終盤の種明かしのシーンは圧巻。「まさか!そんな!」と思わず声に出してしまうほど見事で鳥肌が立ちました。
衝撃的なトリックを味わいたいという方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
著者 | 泡坂妻夫 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 241 |
冷たい校舎の時は止まる
雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。(講談社)
第31回メフィスト賞にも輝いた長編ミステリー
『ツナグ』『かがみの孤城』などを手掛けた小説家・辻村深月のデビュー作であり、第31回メフィスト賞も受賞した著者の代表作となる1冊です。
本作は上下巻の2部構成になっており総ページ数は1000ページ以上と、圧倒的なボリュームがあります。
とはいえ内容は非常にワクワクさせられるものであり、1人づつ消えていく中で徐々に真相に迫っていく展開や登場人物たちの過去など、ページをめくる手が止まらずあっという間に読み終えてしまいました。
ファンタジー要素のある青春小説としても面白い作品なので、気軽に読めるミステリーをお探しの方にはぜひオススメです。
著者 | 辻村深月 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 608 |
ダ・ヴィンチ・コード
ルーヴル美術館のソニエール館長が館内のグランド・ギャラリーで異様な死体で発見された。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。(KADOKAWA)
全世界を揺るがせ、7000万部の大ベストセラーを記録した傑作歴史ミステリ
アメリカ合衆国において出版された、小説家ダン・ブラウンによる長編推理小説。『天使と悪魔』に次ぐ「ロバート・ラングドン」シリーズの第2作にあたります。
レオナルド・ダヴィンチの絵画に隠された謎をテーマに、多くの流説を結びつけて事件の真相に迫っていく展開には非常にワクワクさせられ、やめ時を見失うほど引き込まれました。
叙述トリックや推理ものも良いですが、こういった探究心をくすぐられるようなミステリー作品も読み応えがあって面白いのですよね。
本作は映画化もされており、そちらも非常に見応えのある面白い作品に仕上がっています。気になる方はぜひ映画からでも楽しんでみてください。
著者 | ダン・ブラウン |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 296 |
ユリゴコロ
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題されたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか? 絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!(双葉社)
数々の国内ミステリーランキングにランクインしたベストセラー
『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞した小説家・沼田まほかるによるミステリー小説。
かなり人を選ぶ作品だと思います。一般的なミステリーに比べ、欠落した人間の苦悩や救済といった心の内側にスポットを当てた内容であり、他作品にはない独特な魅力のある作品です。
読み始めは怖い印象のある作品でしたが、終盤の深い愛情には胸を打たれました。小説としても読み応えのある1冊だと思います。
なお本作は2017年に映画化もされています。気になる方はぜひ映画からでも楽しんでみてください。
著者 | 沼田まほかる |
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発行元 | 双葉社 |
ページ数 | 262 |
天久鷹央の推理カルテ
統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた……? 頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。(新潮社)
累計発行部数170万部ごえの大人気医療ミステリーシリーズ
現役医師でもある小説家・知念実希人による医療ミステリーシリーズ『天久鷹央の推理カルテ』の第1作。
医療ミステリーモノって、権力闘争や医療ミスの隠蔽といった重い話が多いのですが、本作は院内外で起きた不思議な事件を女医・天久鷹央が診断医の能力を生かして解き明かしていくという内容。
そのため非常に読みやすく、また著者が現役医師のため説得力があって学べる部分も多いのですよね。あと登場人物たちも魅力的で親しみやすいのもGOOD。
ページ数もそこまで多くなくサクッと読め、その上かなり面白いのでハマってしまうはず。「表紙に惹かれる」という人も、間違いなくアタリ本なのでぜひ読んでみてください。
著者 | 知念実希人 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 242 |
さよならドビュッシー
ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。(宝島社)
第8回『このミステリーがすごい!』大賞に輝いた、人気シリーズの第1弾
中山七里による推理小説シリーズ「岬洋介シリーズ」の第1作。累計売上は25万部を突破している人気作です。
ピアニストの岬洋介が音楽関連の事件を解決するという内容であり、音楽と絡めた事件の展開もワクワクし、終盤にはどんでん返しもあって非常に読み応えがありました。
ミステリーでありながら音楽面の知識についても深く書かれており、また『のだめカンタービレ』のような少女マンガっぽい雰囲気もあって取っ付きやすい作品だと思います。
本作は2013年に映画化、2016年にテレビドラマ化もされています。気になる方はぜひ映画・ドラマからでも楽しんでみてください。
著者 | 中山七里 |
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発行元 | 宝島社 |
ページ数 | 415 |
悪辣弁護士・御子柴礼司の活躍を描いた人気シリーズの第1弾
中山七里によるリーガル・サスペンスシリーズ「御子柴礼司シリーズ」の第1作。
法廷劇を題材に弁護士である御子柴礼司の活躍を描いたリーガルサスペンスなのですが、悪辣弁護士の御子柴の姿が痛快で面白く、読んでいてグイグイ引き込まれました。
加えてストーリーも面白く、また最後にはあっと驚くような展開もあって、非常に読み応えのあるシナリオになっています。
なお本作はテレビドラマ化もされています。気になる方はぜひドラマからでも楽しんでみてください。
著者 | 中山七里 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 300 |
連続殺人鬼 カエル男
マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。(宝島社)
第8回『このミス!』大賞の最終選考に残ったサイコスリラー
小説家・中山七里による推理小説。第8回『このミス!』大賞では、同著者の『さよならドビュッシー』と並んで最終選考にまで残った作品。
著者の他作品とは内容がガラリと変わり、こちらはかなりサイコスリラーな内容。惨たらしい事件を起こし続けるカエル男の狂気っぷりは、読んでいてかなり緊迫感がありました。
内容自体はとても面白いのですが、若干冗長なシーンがある(暴動のシーンなど)ので中だるみするかもしれません。個人的には流し読みしても問題ないかと思います。
なお本作は2020年1月10日からU-NEXTでドラマ化もされています。気になる方はぜひドラマからでも楽しんでみてください。
著者 | 中山七里 |
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発行元 | 宝島社 |
ページ数 | 411 |
幻夏
「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。日本推理作家協会賞候補作。(KADOKAWA)
23年前の失踪事件と現代の冤罪事件が交差する傑作ミステリー
小説家・太田愛による推理小説。著者が手掛けた『犯罪者』の続編であり、前作の事件から数年後を舞台にした作品です。
殺人の冤罪事件を題材にした巧みなシナリオ展開は見事で、「こことここが繋がるのか…」と読んでいて感心する部分も多く、途中からページをめくる手が止まらなくなるほど引き込まれました。
そして何と言っても切ないストーリーに胸を打たれます。読んでいてこれほど胸が詰まるミステリー小説は他にはありませんね。読後に分かるタイトルの意味も秀逸。
これ単独でもじゅうぶんに楽しめるとは思いますが、前作を読んでいないと登場人物が「?」となること間違いナシなので、個人的には前作から続けて読むのをオススメします。
著者 | 太田愛 |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 425 |
異人たちの館
富士の樹海で失踪した息子・小松原淳の伝記を書いて欲しい。売れない作家・島崎に舞いこんだゴーストライターの仕事。女依頼人の広大な館で、資料の山と格闘するうちに島崎の周囲で不穏な出来事が起こり始める。この一家には、まだまだ秘密がありそうだ――。(文藝春秋)
失踪した少年に隠された衝撃の真実とは?
『倒錯のロンド』『沈黙の教室』などを手掛けた小説家・折原一による推理小説。本作は著者の最高傑作と評される作品です。
少年の失踪、取材を始めた主人公の周りで起こる不穏な出来事。序盤の不気味さと中盤からのミステリー的面白さの塩梅が本当に見事で、読む手が止まりませんでした。
この著者ならではの構成も秀逸で、終盤の期待を裏切らない展開も大満足。まだこんなにゾクゾクさせてくれる作品があったのかと、読んでいる最中も後もとてもワクワクさせられました。
ミステリー好きな方でまだ読んだことがないという人には、ぜひ一度読んでみて欲しい名作です。
著者 | 折原一 |
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発行元 | 文藝春秋 |
ページ数 | 614 |
倒錯のロンド
”原作者”と”盗作者”の緊迫する駆け引きに息を呑む。受賞間違いなし、と自信を持って推理小説新人賞に応募しようとした作品が、何者かに盗まれてしまった! そして同タイトルの作品が受賞作に。時代の寵児になったのは、白鳥翔。山本安雄がいくら盗作を主張しても誰も信じてくれない。原作者は執念で盗作者を追いつめる。(講談社)
張り巡らされた仕掛けに息を呑む衝撃のミステリー
小説家・折原一による推理小説。倒錯シリーズの第2作にあたりますが、繋がりはないのでこの作品から読んでも充分楽しむことができます。
一部のジャンルで高い評価を得ているミステリー小説であり、どんでん返しに次ぐどんでん返しとまさに驚きの連続。
この著者らしいトリックも見事であり、読後はやられた感もしっかり味わえるはずです。
なお2021年1月に完成版が発売されていますが、原作に加筆・修正を加えられ読みやすくなっているので、今から読むならこちらがオススメです。
著者 | 折原一 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 400 |
硝子の塔の殺人
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。著者初の本格ミステリ長編、大本命!(実業之日本社)
クローズドサークルを新たなトリックで描いた本格ミステリー
小説家・知念実希人による推理小説。「読みたい本ランキング」第1位、島田荘司や綾辻行人といった名作家も衝撃を受けた、著者の新たな代表作ともいえる作品です。
2転3転するストーリー展開は衝撃的で、まさに綾辻行人の「十角館の殺人」を読んでいる時のようなワクワク感がありました。
内容も面白いですが、随所にミステリのウンチクが出てきてそれを読むのも面白かったです。ミステリをよく読む方なら、きっとニヤリとさせられるはず。
2021年に発売された作品であり、SNSでも評判をよび早々に重版が決まるなど、最新のミステリー作品の中でも特に人気の高い1冊です。
著者 | 知念実希人 |
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発行元 | 実業之日本社 |
ページ数 | 504 |
星降り山荘の殺人
雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。(講談社)
「本格ミステリ・ベスト10(1997年)」国内部門3位に輝いた名作
本格ミステリ大賞も受賞している小説家・倉知淳による長編推理小説。第50回日本推理作家協会賞(長編部門)へのノミネートをはじめ数々の賞にランクインし、著者の代表作と言える作品です。
「どんでん返し系で有名」「雪の山荘でのクローズドサークル」ということでワクワクしながら楽しめました。肝心のトリックも衝撃的で痛快で見応えあります。
個人的には登場人物たちの設定や掛け合いなどがコミカルな雰囲気で面白く、そちらも読んでいて楽しいと感じられる大きな魅力だと思います。
著者 | 倉知淳 |
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発行元 | 講談社 |
ページ数 | 431 |
屍人荘の殺人
神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。(東京創元社)
国内ミステリーランキング4冠を達成した、人気シリーズ第1弾
小説家・今村昌弘のデビュー作であり、『屍人荘の殺人シリーズ』の第1作。第18回本格ミステリ大賞受賞など、国内ミステリーランキングで4冠を達成し、2021年8月時点でシリーズ累計発行部数は100万部を突破している人気作です。
謎が謎を呼ぶ展開でミステリーとしても面白い作品ですが、個人的には登場人物たちが魅力的でハマってしまい、どんどん読み進めてしまいました。
謎解き要素のあるストーリーもありつつちょっと恋愛要素もある、ライトなミステリー作品としては非常にオススメの作品です。
なお本作は2019年12月に映画化もされています。気になる方はぜひ映画からでも楽しんでみてください。
著者 | 今村昌弘 |
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発行元 | 東京創元社 |
ページ数 | 328 |
許されようとは思いません
「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた――。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。(新潮社)
驚きと感動に満ちた5つの物語を収録した短編集
小説家・芦沢央によるミステリー短編集。2017年の「このミステリーがすごい!」大賞で第5位にランクインするなど、高い評価を受けている作品です。
全5篇からなる短編集ですが、驚きのあるストーリーはもちろん、文体や描写も魅力的で読みやすく非常に満足感の高い1冊。読後は著者の他の作品も読みたくなったほど、ハマってしまいました。
ページ数も多くなくまた短編集ということもあり、ミステリーを気軽に楽しみたいという方にはとてもオススメの作品です。
著者 | 芦沢央 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 236 |
悪いものが、来ませんように
助産院の事務に勤めながら、紗英は自身の不妊と夫の浮気に悩んでいた。誰にも相談できない彼女の唯一の心の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も母や夫と理解し合えず、社会にもなじめず紗英を心の支えにしていた。二人の強い異常なまでの密着が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺体で見つかったのだ。これをきっかけに二人の関係は大きく変わっていく! (KADOKAWA)
「絶対もう一度読み返したくなる!」と絶賛された傑作心理サスペンス
『罪の余白』『許されようとは思いません』などを手掛けた小説家・芦沢央によるミステリー小説。
出産や夫婦関係、姑問題などをテーマにしたサスペンス色の強い内容です。文体も読みやすく、ヒリヒリとしたサスペンスの雰囲気も巧みで、続きが気になり一気に読み進めてしまいました。
「絶対もう一度読み返したくなる!」という謳い文句も間違っておらず、衝撃的な展開もありしっかり驚かされ楽しめました。
ストーリー展開も良かったですが、女性として生きる上での苦悩や問題といったことも描かれており、そういった部分でも読み応えのある作品だと思います。
著者 | 芦沢央 |
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発行元 | KADOKAWA |
ページ数 | 284 |
いなくなれ、群青
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凜々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎……。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。(新潮社)
2019年に映画化もされ話題となった人気作
『サクラダリセットシリーズ』を手掛けた小説家・河野裕によるミステリー小説であり、「階段島」シリーズの第1作。本作は2019年に映画化もされ話題となりました。
「捨てられた」人間が行き着く謎の孤島「階段島」を舞台にした青春ミステリーであり、ファンタジーな世界観も相まってとても読みやすい作品。
本格ミステリーのような緊迫感は無いですが、徐々に謎が明らかになっていく展開は読み応えがあり、先が気になってどんどん読み進めてしまいました。
ジャケットが気に入ったという方も、内容もしっかり面白いのでぜひ読んでみてくださいね。
著者 | 河野裕 |
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発行元 | 新潮社 |
ページ数 | 270 |
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まとめ
今回ご紹介した作品はどれも読み応えがあって本当に面白く、自信を持っておすすめできるものばかり。
ミステリーが好きな人はもちろん、あまり読んだことがないという人でも、未読な作品があればぜひ読んでみてくださいね。