『零』シリーズは、コーエーテクモゲームスから発売されている日本のホラーゲームシリーズです。2001年12月にPS2にて第1作『零 zero』が発売され、以降も様々なハードで続編が製作されてきました。
『零』シリーズの魅力は、徹底して追求された和の怖さ。他作品では味わえない恐怖演出と、呪いの儀式を絡めたストーリーは、一度プレイするとその素晴らしさにどっぷりとハマってしまうはず。
今回はそんな『零』シリーズの魅力に加え、裏話として語られている開発にまつわる怖い話も合わせて、シリーズの「怖さ」をまとめてご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
『零』シリーズとは?
テクモ(現:コーエーテクモゲームス)から発売されている日本のホラーゲームシリーズです。2001年12月にPS2にて発売された『零 zero』をはじめとし、2021年時点では全部で5タイトルが発売されています。
タイトル | 発売日 | ハード |
---|---|---|
零 zero | 2001年12月13日 | PS2、Xbox |
零 紅い蝶 | 2003年11月27日 | PS2、Xbox、Wii |
零 刺青ノ聲 | 2005年7月28日 | PS2 |
零 月蝕の仮面 | 2008年7月31日 | Wii |
零 濡鴉ノ巫女 | 2014年9月27日 | Wii U |
2021年10月28日には最新作である『零 濡鴉ノ巫女』のリメイクの発売が発表されており、対応ハードはSwitch、PS4、PS5、Xbox Series X/S、Xbox One、STEAMが予定されています。
『零』シリーズの怖さ
『零』シリーズの最大の特徴は、「最恐和風ホラー」と称される和製ホラー的デザイン。
西洋の世界観を題材にしたホラーゲームが多いのに対し、明治や大正といった過去の時代の面影が色濃く残る日本の村を舞台としており、
そこにまつわる古い因習から起こる、様々な心霊現象による恐怖を体験できる作品となっています。
ここからは、そんなシリーズの魅力である「怖さ」についてご紹介していきます。
徹底して追求された和の怖さ
本シリーズのタイトルは全て日本を舞台としており、作中に登場する建物・風景・小物に至るまですべてが「和」で統一。
そのため『BIOHAZARD』や『OUTLAST』などの作品とはまた違い、静かで湿った和の恐怖が全編に渡って漂っています。
演出もそれに見合いドッキリ系やスプラッターではなく、心臓が縮み上がるような精神的にくる恐怖演出が施されており、他作品では味わえないリアルな怖さを体験できます。
いかにもな雰囲気が漂うステージ
シリーズのステージは「呪われた屋敷」や「地図から消えた村」など、いかにも日本の怖いロケーションを題材としており、言うなれば「本当にヤバイ場所で肝試しをしている」かのよう。
そんなステージの雰囲気作りも見事で、朽ち果てた廊下、揺らめく蝋燭の灯り、不気味な人形など、いかにも何か出てきそうな仕上がりであり、探索しているだけでも背筋がゾクッとなるはずです。
肝が冷える怨霊達
本作の敵は「怨霊」。作中のストーリーに絡む様々な霊が登場するのですが、その現れ方も徹底されています。
わざとプレイヤーを驚かせるようなものは一切なく、探索する中でさりげなく、そして思いがけない場所からすぅーっと現れるため、出会った瞬間は本当に胆が冷えること間違いなし。
ビジュアルもかなり作り込まれており、出会っただけでも不快感や恐怖を感じるような不気味な霊達が揃っています。
シリーズならではの「射影機」システム
本作では「射影機」と呼ばれるカメラを使い、霊を撮影して撃退するという戦闘システムが採用されています。
この戦闘システムも見事であり、「心霊写真を撮影する」「霊を見なければならない」という新しい恐怖を体験することができるのです。
また射影機は、カメラに霊を収め続けることでのチャージ攻撃や、霊固有のシャッターチャンスや至近距離で発生する「フェイタルフレーム」で大ダメージを出せるなど、霊を見れば見るほど、戦闘を有利に進められるデザインになっています。
切なさのあるシナリオ
ホラーゲームでなかなかシナリオまで面白いものは少ないですが、本シリーズはシナリオもとても見応えアリ。
呪いの儀式や村といった民族学的テーマを題材にしながら、どこか切なさのあるシナリオになっており、プレイしていて心を打たれ思わず涙してしまうシーンも多いのです。
特に第2作『零 紅い蝶』のシナリオは、ホラーゲーム全体で見ても屈指の名シナリオ。切なくも儚くて美しいストーリーには、非常に引き込まれました。
美少女揃いの主人公達
そんな『零』シリーズの怖さと同じくらい魅力的なのが、美少女主人公達。
第1作からどの作品でも主人公は万人受けする王道的性格の美少女であり、そんな彼女達が心霊スポットをおっかなビックリ探索していく様子を見られるのもシリーズならでは。
美しく華のある主人公達はプレイヤーにとっての心のオアシスとなっており、怖いながらも何度もプレイしたくなる魅力があるのです。
『零』シリーズの開発スタッフを襲った怪奇現象
そんな『零』シリーズですが、実は怖さとリアルさを追求するために、開発時にはお化け屋敷や日本家屋、日本庭園や樹海など様々な心霊スポットの取材を行っているのだとか。
特に1作目『零 zero』と2作目の『零 紅い蝶』では、「絶対お祓いをしない」「御払いしたら怖くない。なにかあったら役得」というディレクターの信念から、製作時のお祓いを行っていないのだそうです。
それ故か、開発中には様々な怪奇現象に見舞われたという話があります。
①『零 zero』割れた蛍光灯
1作目『零 zero』の開発中期のある昼下がり、全員が黙々と作業を進める中、突然「パシーン!」と蛍光灯が破裂。
電球がフードの中に入っているタイプのものであり、何かに当たって割れたわけではない。
会社に入って以来こんなことがあったという話を聞いた事も無く、蛍光灯を取替えに来た人も「なぜこんな事が起きたんでしょうね…」と漏らしていた。
②ムービーに映りこんだあり得ないモノ
『零 zero』の作中の「作家たち三人が縄の廊下にやって来るムービー」を作成していた最中、スタッフの1人が「何かおかしい」と言い始める。
再生し直したところ、最後に作家が鏡の前で振り向くシーン、画面の隅に白い棒のようなものが一瞬だけ確かに写っている。
コマ送りして確認すると、宙に浮かんだ足先が鏡の上隅にチラッ、まるでその人間が上から吊られているかのように写りこんでいた。
③ディレクターに迫る霊の影
『零 zero』の開発中、ディレクターの部屋に長い髪の毛が落ちているという現象が起こり始める。かなり長くつややかな髪の毛で、若い女性のものという感じ。
始めはよく服についていたので「いつ付いたんだろう?」という程度だったが、次第に部屋に帰る度に落ちていたり、カバンの中にまで入っているようになり気味が悪くなる。
そんなある日、部屋でシナリオを書こうとパソコンを開くと、キーボードの上に、まるでそこにいたかのように髪の毛が落ちていた。
なおパソコンのキーボードの上に落ちていたのを最後に、髪の毛は見なくなったそうです。
④開発室に現れた霊
『零 zero』開発末期、ある日の深夜2時過ぎの事。フロアでディレクターだけが作業をしていた時、ふとパソコンから目を上げると会議室のドアが開いている。
と次の瞬間、ドアの陰から「ひょこっ」と、やけに無表情で目を閉じ、口は半開きで髪の毛が無い白い横顔が現れる。
「スタッフの1人がからかっているのでは?」と思い無視しようかとしたところ、その白い横顔はドアの陰に引っ込みまた出るという前後運動を開始した。
あまりにもコミカルだっため、「しょうがないなー」と笑い流し仕事に戻ったそうですが、小1時間たってもまだその運動を続けていたので、
「ちょっとしつこいぞ」と思い席を立つと顔は引っ込んだまま出て来なくなったそうです。
⑤企画担当のスタッフを襲う怪奇現象
企画担当のあるスタッフは、夜の開発室で髪の毛を天井に引っ張られた。
また、同じく企画担当の別のスタッフは、会社からの帰り際にガラスに映った女を見るも振り向くと誰もいなかった。
⑥『零~紅い蝶~』ムービーに入る少女の声
『零~紅い蝶~』のあるムービーボイスの収録時、ものすごく小さい少女の声で「オニイチャン」と言うボイスが入っていた。
セリフに重なるように入っていたため削除することもできず、そのままにして発売してあるとのことです。ボリュームを大きくすれば聞こえるかもしれません。
⑦霊石ラジオの謎のファイル
『零~紅い蝶~』の作中に登場する、霊の声を聴くことができるアイテム『霊石ラジオ』。
その中のあるファイルに、本来組み込んでないとてもリアルなうめき声が入っていた。
担当者は「この音は作ってない。一晩かけてずっと削除してるんですけど、どうしても消えなかった」と言っており、もちろんこれもそのままにして発売してあるそうです。
⑧ディレクターの前に現れた女性の霊
『零~紅い蝶~』のプロジェクト中のある夜。2時半頃に床に付き、布団の中に入ってもしばらく寝付けないでいた開発ディレクターの前に、白くぼんやり光る棒のようなものが。
最初は何か分からず、段々それが近づいてくると、手のひらをこちらに向け目を覆うように迫ってきている右手だと分かる。
とっさに部屋から流し台の方に避難し、おそるおそる部屋をのぞき込んでみると、白い和服orワンピースを着た女性が、枕に顔を突っ伏して横たわっていた。
⑨ディレクターの手を強く握る霊
また別の日の夜中4時頃。突然強い力で手を握られて目を覚ました開発ディレクター。
手を見るとそこには、指が細く手も小さく小柄な女の人か子供の手のような手があり、しかし異様な力でだんだんと強くなっていった。
大きな声を上げて、布団の中を見ようとすると、手はスッと引いて消えてしまった。
こうした裏話を聞くと、怖い反面より強く興味を惹かれますね。開発スタッフの方々の情熱が素晴らしい。
まとめ
和製ホラーの最高峰とも言われる『零 シリーズ』。その作り込まれた空気感や恐怖演出は、今なお多くのファンの心を掴んで離さず、まさに名作ホラーと言える作品でしょう。
2021年10月28日にはシリーズの最新作に当たる、『零 ~濡鴉ノ巫女~』のリメイクがPS4やSwitchで発売されます。
グラフィックスやビジュアルは現代機向けに大きくアップグレードされており、シリーズならではの恐怖をより美しい映像で体験することができます。
ストーリーの繋がりはないので、シリーズ初心者の方もぜひ本作を手に取って遊んでみてくださいね。